「…ていうかさ、圭。」
「何?」
エレベーターのボタンを押して、横に立っている圭の方を見た。
視界の端で、エレベーターの表示が変わるのが見える。
…私達が住んでいる10階までは、まだ時間がかかるようだ。
「……彼女とか、いいの?」
「彼女? 俺が彼女いるなんて、いつ言った?」
「…いないの?」
「何、いなきゃマズいわけ?お前もいないのに。」
「! あ、あたしはいいのっ!」
「ふーん?ま、いいけどね。エレベーターもきたし?」
ニヤニヤした表情を浮かべながらエレベーターに乗りこむ圭に続いて、私もエレベーターに乗りこんだ。