ケータイを手に取って、彼にメールを送ろうか迷って結局やめた。


できるだけ、この決心を揺るがせるのはやめよう。


今のままでいいなんていう、臆病者のあたしが顔を出してしまいそうだから。



「……あ」



だけど、新着メールが1件。


メールを開く指先が震えていたのは、たぶ気のせい。



【明日の時間割、教えてくれない?】



ああ、彼ってなんてズルいんだろう。


計算? ううん、そんなわけはないのはわかってる。


でも、今のあたしにはこんな他愛ないメールさえ来て欲しくなかった。


あたしは、機械的な文で返事をして、ケータイを閉じた。


誰に送ってもいいようなメールで、あたしに送るなんて……期待させないで。