……何で、なんだろう。
ノート提出の日、私は困り果てていた。
私のクラスは35人いるはずなのに、ノートが一冊足りなかったから。
「もー、先生に名簿貰っておけばよかったのに」
なんて他人事のように呟いた。
……よし!面倒臭いけど一冊ずつ名前調べていくしかないか。
「…向井くん、森川くん。ってことは、まさか…」
出席番号35番の彼。
学校一のイケメンらしくモテ過ぎて、他校からもファンが集まるとか言う噂もある山田愛斗くん。
私は苦手で近寄ったこともなくて、ましてや「ノート出して」なんて言いづらいったらありゃしない。
「どーする、私」
はぁー…っ
大きな溜息をついて、一人虚しく教室で頭を抱えていた。