まぁ…信じ難い。
でも今はこの男を信じるしかなかった。
「それで、犯人はわかってんのか?」
「あら?口調…変えるんですか?」
男は肩を震わせて笑いをこらえている。
「う…うるせー!!ともかく犯人は誰なのか教えろ!!」
「まぁ、検討はついていますが…そのままでは、犯人に復讐なんて出来ませんよ?」
「…どういうことだ?」
まあまあ、と男が杖で制す。
「とりあえず、私についてきてください。」
なんなんだよ…
そうつぶやきながら俺は男について行った。
「一人称まで変えるんですか?」
あはははは、と男は腹を抱えて笑っている。
「うるせー!!勝手に心を読むな!!」
「読んでいるのではなくて聞いているんですけどね?」
「う…うるせー!!」
うるさいし、ムカつく奴だけど、いい奴なんじゃないか?
そんな考えが一転するとは知らず、俺はこの男について行った。
その選択が、後に後悔を生むなんて、この時は考えもしなかった。