「ここだ。下りろ狼牙!」


「おう。」


降り立った二人の前にあるのは例の池田屋。


既に新選組が中で御用改めの最中であった。


一階には目を向けず、二階の部屋を一点に見つめる。


「狼牙、ついて来るなよ!」


「え?あ!時雨!!」


だっと走り中に入った時雨に呆気を取られた狼牙は取り残されてしまった。



時雨は戦っている男たちの横をすり抜け、二階を目指した。


「――っと、ちょいと通らせてくれよ。」


「あぁ。

――って、時雨!?」


「何!?時雨殿!?」


突然現れた時雨に困惑するが、目の前の敵に手が放せないでいたため、それどころではなかった。


「邪魔はしねえから好きにやっててよ♪」


斬りかかってくる浪士をひょいひょい避けて二階へと向かって行った。