「もう、日向を言いなりにさせて操るのなんて……やめて?もう、日向を騙して利用するのなんて………やめてよ……っ」
「……………」
少し息づかいが落ち着くと、夏紀さんはあたしから目を逸らしてうつむいた。
「確かに……たしは、夏紀さんの言うとおりただの一般人で。日向はテレビにも雑誌にも出てる芸能人………あたしより、ずっと立派な人」
そう、テレビに出てる日向を見て。
近いのに遠い存在……。
そんな気持ちを抱くのは、しょっちゅうだった。
それでも、あたしは日向の言ってくれた言葉があったから耐えてこれたの。
テレビの向こうにいる芸能人の日向を見ても、あなたが言ってくれたから………。
「……俺は何かあった時。芸能人をやめてでも、奈央のそばにいる。なにがあっても奈央を守りたいって思う。俺の一番近くにいるのは、奈央だけでいい」
だから……。
「だから……」
「ずっと守るから、結婚してください……」
………日向が顔を少し赤くしながら言った、プロポーズの言葉。
………あたしを支えてくれた言葉。