「今紅茶でも持ってくから、そっちに座ってて」
夏紀さんに言われたとおり、リビングにある白いフカフカそうなソファーに座る。
テーブルの上に飾られていたお花のから、いい香りが漂う。
少しキョロキョロしているあたしの前にスッと紅茶を置いて、座る夏紀さん。
その時、一瞬。
あの時日向からした甘い香水の匂いがした。
「……夏紀さん、どうしてこんな卑怯なことするんですか?」
顔を上げて、いきなりそう言ったあたしに、少し驚いた夏紀さん。
でも、すぐにさっきのすまし顔に戻る。
「卑怯? なんのこと?」
「……南さんから、全部聞きました。夏紀さんが日向を脅したことも。夏紀さんがどんな手使ってでも、日向を手に入れようとしてることも」
少しなにか考え深そうにした夏紀さんは、すぐにフッと笑った。
「……へぇ、南くんが知ってるってことは。日向くんは、あなたより南くんを信頼してるのね」
「………え?」
どういう意味?