「あなた……奈央ちゃんよね?」
少し、なにか余裕そうな顔であたしに言う。
「そうです」
それに負けじと平静をよそおって返すあたし。
「ふーん………」
まるであたしを見定めるように、ジロジロとあたしを見る夏紀さん。
な、なんか……南さんの言ってた通り、テレビの時と態度が全然違う。
テレビで出てるときは、謙虚で礼儀正しい感じなのに……今は強気で、少し感じ悪い。
「写真で見たとおり。ほんとに可愛いわね」
しばらくあたしを見た夏紀さんは、そう言って微笑んだ。
「で、今日は? あたしになにか用かしら」
「……少し、夏紀さんとお話しがしたいんです」
「へぇ」
あたしがそう言うと、なんだか少し面白そうな顔をして、あがに手をあてた。
「……いいわよ。あたしも一度奈央ちゃんとお話してみたかったの。入って?」
「……失礼します」
夏紀さんに促され、あたしは部屋へと足を踏み入れる。
「南くんも話すことあるのかしら?」
「俺はお前なんかとする話なんて、ねぇけど……」
夏紀さんとあたしが二人で話すのが不安なのか、南さんは心配そうにあたしを見た。
……けど、これはあたしが決着つけなきゃいけないの。
ここまで南さんの力を借りるわけにはいかない。
「南さん、あたし一人でも大丈夫です。ここまで連れてきてくれて、ありがとうございました」
あたしは、ペコッと南さんに頭を下げた。