「………はい、どちら様?」
出たっ……。
少し高くて、テンポのいい声がインターホン越しに聞こえた。
少し動揺するあたしの横で、南さんは落ち着いた様子。
「……南」
そうひとこと、言うとプツンとインターホンは切れる。
それと同時に、ガチャンとドアの鍵がひらく音がした。
「南くん、どうしたの? いきなり」
中から出てきたのは、テレビに出ている女優。本物の夏紀さん。
生で見ると、本当に綺麗で大人っぽい。
「今大丈夫?」
「ニュース見たでしょ? 外になんて出れなくてヒマしてたわよ」
まだあたしに気づいてない夏紀さんは、淡々と南さんと話している。
「なんかあるなら、入れば? ………あれ?」
半開きだったドアを大きく開けたことで、夏紀さんはようやくあたしに気付いた。
「………はじめまして」
大きくて鋭いアーモンド型の目をこっちに向けられ、少し引き気味に挨拶する。