…アキ。


声には出さず、くちびるのうらで、その名前をよぶ。


おとといの晩。

お母さんが部屋に来て、しかたなく携帯をさわっているときに、わたしはアキのブログを読んでしまっていた。

ピンクの、イチゴのブログ。

ブックマークの、一番上にあったから。


ブログは、たくさん更新されていた。

最近の記事のなかに、ひとつだけ、鍵つきのものがあった。

仲の良い友達限定ブログ。わたしと、多分ほか数人しか、見ることができない仕様のブログだ。


その記事だけ、題名がなくて。

気になったわたしは、指をすべらせて、開いていた。


いつもの絵文字は、なかった。

アキの言葉だけが、そこにはあった。


『大切な人が、すごくつらいめにあったとき、どうしてあげればいいのかな』

『メールを送り続けると、逆においつめちゃうのかな』

『わたしって、なんだろう。その人にとって、どういう存在なんだろう』


そんなことが、たくさん、詰められて、書いてあった。