その前には、まず宿題を終わらせなければいけないな。

お父さんの一言で、はじめて夏休みの宿題に気が回って、そして気づいた。


宿題も、教科書も。全部、机のなかとロッカーに、置きっぱなしだということ。

学校を飛び出して以来、教室には、足を踏み入れていないから。勉強のことをまるっきり忘れるなんて、中学生失格だ。


もういい。今日は寝よう。遅いんだから。

先生が、明日家に来ると言っていた。

先生が気をきかせて、宿題を持ってきてくれればいい。


布団にくるまる。すこし暑くて、足と腕を出す。

けれど、頭のてっぺんからつまさきまで、やさしいものに包まれているように心地よかった。



朝、起きたら。

顔、とくに目は、きっとひどい。

けれど、しっかりキレイに洗った後は、ひさしぶりにちゃんと、笑える気がした。