価値が、下がっていく。

だれからも必要とされない、ニンゲンになっていく。

近づいていく。ゴミニンゲン。


掃除中に、いらないものを詰めたゴミ袋が、ドアの前に横たわっている。

白色透明な、袋を見つめる。あのなかに、自分が入っている想像をする。

詰められて、回収されて、ゴミ収集車のなかで、バラバラに、なって。


何度めかの吐き気がこみあげたところに、コンコン、と軽いノックの音がした。


赤く血走った目を、ドアにむける。

わずかなすき間から、お母さんの顔が、遠慮がちにのぞいた。


「あの・・・八子。いま、ちょっといい?」


いまが、いちばんよくない。


ハッと息がこぼれる。

お母さんがドアを開いたせいで、前に置いてあるゴミ袋が、ぐにゃりとつぶれている。


「今日、お母さんが仕事から帰るとき、連絡があってね。明日、八子の担任の先生、家に来るって」


ヒヤリとした。本当に、鳥肌がたったのかもしれない。

先生が、家に?なんのために?

わたしを、学校に連れ戻すために?