『―――――ママなんか大っきらいっ!!』


そう言って家を飛び出した和也(かずなり)を私は追わなかった。

追ってはいけないの。今は。
悪者にならなきゃ。
きっと、大きくなった和也はわかってくれるはず。

和也はきっと、あの丘だろう。



和也が夜遅くまで帰ってこない時は
いつもあの丘にいる。
和也の感情のはけ口を塞いではいけないから、
私は追わないの。



こんなことを言ったら親失格なのかも。
それ以前に、和也の為だとはいえ
今は泣かせることしかできなかった私は、
本当に親失格。

結局は私が耐えられないだけだったのかもしれない。