『―――――ママなんか大っきらいっ!!』

そう言って僕はママをいつも困らせる。
家を飛び出し涙を拭いながら、走る。
もちろん行き先はあの丘だ。



家から少し遠いあの丘は街を一望できる。


怒ったときは、思いっきり怒りを叫ぶ。
悲しいときは、夜になるまで思いっきり泣く。
どうしようもなく虚しい時には、
沈んでいく夕日をただただ見つめる。



僕が唯一まっさらになれる場所。



ママに教えてもらった大切な場所。