私は普段まったくと言っていいほど出さない怒鳴り声で尾川を叱りつけた。


尾川はびっくりした顔で私の目を見続けた。



「濱田・・・こんな顔もするんだな・・・」




「え・・・」


私はこれまでほど強く尾川を怒鳴ったことはなかった。
多分、顔が赤くなっていたんだろうか。



「もう、のい・・・て? ダンッ
尾川の右手が私の顔すれすれで後ろの壁にぶつかる。



「何・・・?」


尾川は私をじっと見た。


「俺・・・・な?」



「・・・うん」


すぐに教室に戻ろうと思っていた思いもいつしか消えうせた。
私は尾川の瞳をじっと見つめていた。


「俺、やっぱり濱田が好きかも・・・」


え?
でも、どうせ・・・どうせ・・・・・


「嘘つかないでよ!私に嘘ばっかり・・・そんな人・・・・・信じられないよ・・・・・」