ユミ『美雪おっぱぃ沢山飲むょ♪同い年の子より少しぽっちゃりめなの♪』
ヒロ『そうか…』
ユミ『目も少し見える様になってきたと思うの♪』
ヒロ『そうか…』
ユミ『ねぇ聞いてる?何見てんの?』

ヒロは真剣に求人情報誌を見ていた。

ユミ『求職?』
ヒロ『うん。美雪が産まれたんやし、やっぱ正社員でボーナスもきっちり入る仕事につこうと思ってな。営業とかしてみたいな〜って思ってたし、この機に…』
ユミ『とりあえずは生活出来てるんだし、今のままでいいんじゃない?残業とか出張とかありそうだし…私も初めての育児だからヒロには側に居てほしいし、しばらくは定時で帰れる今の仕事でもいいんじゃない?』
ヒロ『…。』

ユミはヒロの顔色を伺う様に言った。

ユミ『まぁヒロが決めた事なら仕方ないか♪』


そしてやりたかった営業職を始めたヒロ。毎日イキイキと仕事をしているヒロを見て、ユミは嬉しく思い、頑張って働いてくれているヒロの為にも、育児と家事を完璧では無いが出きる限りやった。慣れない育児に戸惑いながらも不満も言わずこなしていた。


転職をして半年が過ぎた頃だった。仕事にも慣れ、連日残業で家にいる時間も少なくなり、すれ違いの日々が続いていた。

今日も残業かぁ…最近ヒロは美雪の寝顔しか見てないんじゃないかなぁ…

と思いながらヒロの帰宅を待っていた。


『ただいま』

ヒロが帰って来た。


ユミ『話があるんだけど…』
ヒロ『疲れてるから、手短にお願い…』

この時ユミの心は完全に破壊へと向かっていた。しかし怒りを抑え言った。

ユミ『今度の日曜日に3人で公園にでも行かない?ヒロ疲れてるみたいだから息抜きにもなるよッ♪』
ヒロ『…』
ユミ『いや?』

ヒロ『…。休みくらいゆっくりしたいよ。いいよなお前は…毎日美雪と遊んで。俺も主婦になりてーな…』


この一言でユミの心は崩れ落ちた。

ヒロのため、美雪のため、毎日弱音も吐かず一生懸命やって来た事が全て無駄だったのだろうかと悔しくて悔しくて、今までの思いが一気に爆発した。