『こんなときだけ………』
面倒そうに、女は、頭を掻きながら溜め息を一つ。
そして俺に向けた目に息を呑む。
何もかも見透かれそうな瞳だった。
『…………居場所、探してたんだろ?』
『…………、』
『制服からして、分かる。別に強制とかじゃない』
気が向いたとき、居場所が欲しいときにくればいい。
『ま、来たら日が悪かったら喧嘩してるけどな』
『…………和』
ギロリと睨む女に男が舌を出す。
(――――居場所。)
俺は、居場所が欲しかったのか?
ただ、苛々して親とも上手くいかなくて……………――――あぁ。
そうだ。確かに。
俺は、居場所を探していたんだ。
『………あんた達、名前は?』
自然にそう、言葉を紡いでいた。