『………申し訳ない』

『………』

『ホント、俺が悪かった』


倒れるなら、一人で勝手に倒れろって感じだよな。


『…………一万六千』

『は?』


謝る俺に降ってきた声は不満たらたらな女の声。
顔を上げると、女は俺に背中を向けていた。


『額の治療費、払え』


それだけ言い捨てると、女は、部屋から出ていった。


唖然としながらその背中を見送ると、男の方がやれやれと溜め息を一つ。


『全く、素直じゃないんだから』

『?』

『つーわけで、一万六千円、退院したら返しに来いよ』


男の方も立ち上がりながら、くぅっと伸びをする。


『返すって……』

『ん?あぁ、場所はお前が囲まれていた場所の近く。』



すぐわかるさ。