『――――不運だったな』
『……あ?』
『怪我、してんのに』
女は、近づいてくると、俺の腕を掴み自分の肩にかける。
『あれ、桜姫連れてくの?』
『ん』
『やれやれ、』
男は肩を竦めると、反対側の腕を肩にかける。
『っおいっ何す……っ』
『黙っとけ』
『………』
ギロリと女に睨まれて、俺は、言う通りに黙ってしまう。
(何言いなりになってんだよっ)
自分を叱責しながら、しかしこの二人特に女には逆らえないようなそんな雰囲気だった。
『なぁ、桜姫』
『なに』
『あれだよな』
『まぁな』
何やら俺を挟みながら会話をする二人に俺は、さっぱりだった。
(とりあえず、どこに連れていかれるんだ?)