「証拠ならここにあるしっ!!」


駆け出して、いぢわる王子に抱きついて、


自分からキスをしたあたしを見たから。


「好きなのは…
あたしが好きなのは“玲音”だけだよ」


小さいけど、でも、はっきりと口にしたあたしの言葉を聞いたから、だと思う。


いぢわる王子に抱きついたままの視界の隅で、山本くんがよろよろと歩き始めるのが見えた。