「芹沢くん。
君は何を勝手に…」


よいしょっと腰を浮かしながら、山本くんは転んだ拍子にずれたらしいメガネを直した。


「そんなの君の妄想なんじゃないのか？」


ニヤリと、薄気味悪い笑顔を浮かべて、おしりについた埃をパンパンと払う。


「それに、どこにそんな証拠があるんだ？
紗衣が君の彼女だとか。
だいたい、彼女のことを紗衣と呼ぼうと呼ぶまいと僕の自由…」


そう息巻いていた山本くんのセリフが途中で止まったのは――…