いぢわる王子のばかばかっ!


明太子おにぎりにガブリとかぶりついて、女の子達に囲まれたいぢわる王子に視線を向けた。


でも、もちろん――…


どんなに睨みつけても。


どんなに見つめても。


いぢわる王子と視線が合うことはなく。


あたしは、グッと唇をかみ締めた。


本当は、わかってたよ。


芹沢玲音が“いぢわる王子”なんかじゃないって。


本当は、思ってたよ。


“玲音”そう呼ぶことは、あたしの中でも“特別なこと”だって。