無邪気にしゃべり続けるみるくちゃんに相槌ずらうてなくて、あたしは明太子おにぎりを握り締めた両手を机の上に下ろした。


いぢわる王子も、そんな風に思ってるのかな?


あの日――…


参考書を買いに行くって、強引に本屋さんに連れて行かれた日の、いぢわる王子のセリフと表情が脳裏に焼きついて離れない。


『玲音って呼べっつっただろ?』


あたしが、ただ、名前を呼ばなかっただけなのに。


『オレが名前を呼ばせたいのは、紗衣だけ。
おまえ、その意味わかんない?』


いぢわる王子は、今まで聞いたことのないほど冷たい声と、


見たこともないほど冷めた瞳をあたしに向けた。