「…お…おまたせ」


髪を指に巻きつけながら、もじもじっと、いぢわる王子の前に姿を現す。


“もう大丈夫。
照れたりなんかしないもん”


トイレの中で、散々自分に言い聞かせ、


“スーハー
スーハー”


トイレの中にも関わらず、あれだけたくさんの深呼吸をしたのに――…