どんな話でも聞きたいんだ。
彩と向き合いたいから。
美嘉は 立ち上がっている俺に座る様に促した。
長い話なのだろうか。
俺は素直に座り、美嘉も俺の横に腰を降ろした。

「悪魔のせいだ。と私は言った。だから亜希のせいではないと。」
「あぁ。」
確かに言われた。
あの時。
気をつかっただけだったのか?
「悪魔のせいなのは事実だ。でも悪魔は悪いヤツではないんだ。」
「は・・・?彩をあんな事に仕向けたのにかッ!!」
俺は声を荒げ 立ち上がった。
まぁ 落ち着けと美嘉は手で合図する。
俺は まだ言い足りない口を閉ざし また腰を降ろした。
「悪魔は、その人がこれまでやってきた事が分かるんだ。相手を傷つけた数も。」
「相手を傷つけるー・・・?どういう事だ?」
俺の知ってる彩はそんな事しない。
傷つけるどころか、傷ついてる人を何度も助けたぐらいだ。
俺を救ってくれたようにーーー・・・。
あの時 彩と付き合うまで俺はただの地味な男だった。
元々 絵を描くのが好きだった俺は学校でもずっと絵を描き続けていた。
だけど 周りの皆はそれを気味悪がっていた。
『アイツ、ずっと絵ばっかだな。』
『気持ち悪い。』
『だからああいう人苦手。』
俺はスポーツも勉強もそれなりに出来てた方だけどそれが皆に認められる事はなかった。
そんな ある日ーーー
『ねぇねぇ、何描いてるの?』
「えっ・・・?」
今まで話かけられなかった事に 慣れていたため少し戸惑いがちに顔をあげると そこには にこっと明るい笑顔を見せる少女がいた。
それが彩だった。
それからお互い沢山話すようになり、気づけば俺は彼女に惚れていた。
そして・・・
「俺と・・・付き合ってください!」
生まれて初めての告白。
「うんっ!お願いします。」
成就。
嬉しかった。
今までの生活から真逆の生活が始まった。
一人孤独だった俺に光を照らしてくれた。
その彼女がどうして・・・・・?
相手を傷つけるだって?ふざけるな。
彼女はそんな事しない。
「亜希。言ってもいいんだな?」
「あぁ・・・」
改めて確認してくる美嘉。
なんなんだよ 今までしてきた事って。
「亜希は・・・信じられないかもしれないが。彩は・・・相当な遊び人だ。」
「え・・・?」
あの 彩が?