彩。
目の前には多分・・・彩。
「彩なんだろ?」
「何言ってる?私は美嘉だ。」
美嘉は真っすぐと目を見つめてくる。
真剣な眼差し。
でも 目の奥には彩が見える気がするんだ。
「彩!彩だよな!!来て・・・くれたんだよな?」
俺は 美嘉の肩を揺さ振る。
「・・・ッ!私は美嘉だッ!!」
「・・・ッ!なぁ?・・・もう嘘なんかつくな。俺は・・・・信じてるから。」
俺はまた泣いていた。
美嘉の前で。
そして彩の前で。
「・・・。どうしてわかったの?」
美嘉の中の彩は 諦めていた。
「懐かしい、て思った。」
俺は正直にそう答えた。
だって本当にそう思ったんだ。
「・・・それだけ?」
美嘉は目を丸くしていた。
「うん。どうして彩は美嘉の中にいるの?」
「美嘉が・・・いつも後ろばっかじゃ嫌だろうから前からも見ておけば?て。」
彩はそう言うとクスッと笑った。
「私、亜希に言いたい事があるんだ。」
「俺も彩に言いたい事がある。」
俺がそう言うと彩はニコッと笑って「どうぞ?」と言った。
俺は彩の目をまっすぐ見た。
こういうのは言わなきゃ伝わらないと思うから。
「あの時、酷いことして、ごめん。それと・・・まだ、彩が好きだ。」
「!」
「好きなんだ・・・。」
もう彼女が帰って来ない事くらい分かってるそれでも 俺は―・・・・・。
「わかった。じゃ次は私ね。」