安倍晴明て。
あの・・・・?
歴史上の人物の?
・・・・。
「凄げぇぇ!!!」
俺は驚きのあまり叫んでしまった。
「え、あぁ、うん。」
美嘉はキョトンとしている。
「あ、ゴメン。ビックリしたから。」
「あぁ、そうなんだ・・・。」
美嘉はまぁ当然よねと言って俺を見た。
俺は気がつけば泣いていた。
「亜希?」
美嘉は俺を心配してくれているようだ。
美嘉の前で俺は何度も泣いている。
人前で自分の感情を さらけ出すなんて彩の前でしかなかった。
いや、彩の前でさえ泣いた事はなかった。
なのに俺は泣いている。
今日 初めて出会った子に・・・・。
よっぽど安らぐのだろう。
「美嘉は、なんか安心するよ。」
「?・・・そうか?」
口では そう言ったけど美嘉は嬉しそうだった。
喜んでるみたいだ。
「亜希・・・・悲しいのは分かる。」
美嘉は突然 話しだす。
「だからさ、もう忘れよう?」
「!?・・・何を・・・・・」
「彩の事。忘れて。」
「!!!」
涙が目にいっぱい溜まる。
溜まった涙が滝のように流れ出る。
「な、んでッ!そんな簡単に忘れられる訳ッー・・・・!!」
俺は目を見開いた。
彩が居たから。
目の前にいるのは確かに美嘉だ。
それは分かる。
だけど・・・感じが違う。
この 懐かしい感じは絶対・・・。
「彩・・・・?」
彩なんだ。