「うわっ、寒いね。
お母さん迎え来てる?」


「うん。」




持ってきた傘を傘立てから取って外に出た。



私が病院に来る日は
なぜか雨が多くて
海も空も全然綺麗じゃない。




自動ドアが閉まったのを確認して
もう一度、中を見る。




さ よ う な ら




さすがに恥ずかしいから
声は出さず大きく口を開けて
言ってみると


自動ドアの向こうの先生は
笑顔で手を振っていた。





ただそれだけ。
それだけで景色は一瞬にして
いつもの輝きを取り戻す。