「あ、いたいた。星羅!」



ぼーっとしていた体がぴくりと動き
声のする方を見ると、
先生がいた。




「…何?どうしたの?」


「これ、忘れ物。」



よく見慣れた巾着袋。



何も言えず急いで手が出る。


これはダメ…!




「よかった。そんなに大事なんだ?」


「あ、うん。ごめん。ありがと。」



怒るわけでもなく
干渉するわけでもなく
ただ笑って




「だから、"ありがとうございます"でしょ。」



ったく、と言いながら
ちゃんと出口まで送ってくれた。





皆瀬 恭司。


ここの病院の研修生。




私の好きな人。