「ちょ、聡っ…どうしたの?」

思いっきり早歩きで腕をつかんで来たからか、
茉莉香は息を切らしている。


「どうしたの?ねぇ…」

袖を掴んで上目遣い……

本当、こいつには参るよ。


目をそらして
茉莉香の小さな手をそっと退かした。


「…聡……」


泣きそうな声だすなって…



「はぁ…」

ため息を漏らして
机に腰掛けた。


茉莉香は黙ったまま、
その場に立っている。







「…っう…ひっ…」

しばらく黙っていたら、
急に静かな教室に泣き声が聞こえた。