だけど、
ただでさえ私は
足が遅いのに浴衣で、
ただでさえ足が速い聡に
追いつかれない訳なくて。


「待てっ!茉莉香!!」

簡単に
追いつかれてしまった。


「嫌だ!離して、ばか聡!」

ブンブン手を振り回す私の手を必死で持ちながら、聡が話す。


「茉莉香!お前、なんか勘違いしてないか!?」

「してない!ばか!」

「なんで、俺がお前を嫌いなんだよっ!」

声を荒げる聡に私も負けじと声を出した。

「だって!血迷ったって!」

「……あれは、
外でイケナイ行為をしようとしたからだろ…」

少し恥ずかしげに話す聡に抵抗するのを止めた。


「はぁ?
聡、意味わかんない。」

頭を傾げると、
聡を私を見てまたすぐ顔を背けた。



「っ説明するから!
お前っ、襟を正せっ襟を!」

聡の言葉に自分の襟を見ると
だらしなく大きく開かれていて今にも胸が見えちゃいそう。


しかも、そこには、大量の赤い印。