「笑い、喜ぶなんてめでたい名前、俺、初めて見た」
そう言いながらも、翔の箸は休むことなく、食卓を舞う。
「『しょうき』って読むんです。良く珍しいって言われるんですけど」
「しょうき、かぁ。イイ名字だよね」
笑い、喜ぶ……
今の私とママには程遠い単語だ。
「お母さん、下の名前、なんて言うんですか?」
「えっ?!私?私は、幸せに恵まれると書いて幸恵(さちえ)です」
翔が笑う。
「へぇ。笑って、喜んで、幸せに恵まれるなんて、最高の名前ですね」
翔の言葉にママも頬を染めて、「そうですか?」なんて嬉しそうに笑う……
ママのこんなに嬉しそうな顔見るの久し振りだ。
久し振りの楽しい食卓。
翔のいる不思議な食卓……
まるで、不思議な国のアリスのような夢の世界で食事をしているみたいだ。
翔が話し、私とママが笑う。
そして、翔がまた私たちを笑わせる。
そんな楽しい食卓に突然、アラーム音が鳴り響く。
「あ、やべ。撮影だ」
翔はご飯を掻き込むと、椅子から立ち上がった。
「今日はお邪魔しました」
玄関で靴を履き、挨拶する翔に私達母子はニッコリ会釈する。
扉を開けかけて、翔が振り返る。
「あ、また、食べに来ても、いいっすか?」
「え?ええ……どうぞ、また、いらして下さい」
ママが応える。
ニッコリほほ笑みながら、翔が出て行くと、私達母子はほぉ~~~っと深い安堵の溜息を吐き、ようやく緊張感から解放される。
「面白い子だったわね」
ママはルンルン気分でリビングに戻って行った。
確かに、テレビで見るクールなイメージとはかけ離れていて、本物の翔はとても親しみやすかった。
私もルンルン気分で、部屋に帰り掛けて、ハタと気付く。
ところで……何しに来たの?翔……?
首を傾げる私の目の前の扉が突然、慌ただしく開き、翔が血相変えて現れる。
「綾乃さん、ごめん!本題を忘れてた!後1時間後に出待ちになるから、俺に勉強教えて。じゃ!」
呆気に取られた私の目の前で、扉がパタンと閉まった。
そう言いながらも、翔の箸は休むことなく、食卓を舞う。
「『しょうき』って読むんです。良く珍しいって言われるんですけど」
「しょうき、かぁ。イイ名字だよね」
笑い、喜ぶ……
今の私とママには程遠い単語だ。
「お母さん、下の名前、なんて言うんですか?」
「えっ?!私?私は、幸せに恵まれると書いて幸恵(さちえ)です」
翔が笑う。
「へぇ。笑って、喜んで、幸せに恵まれるなんて、最高の名前ですね」
翔の言葉にママも頬を染めて、「そうですか?」なんて嬉しそうに笑う……
ママのこんなに嬉しそうな顔見るの久し振りだ。
久し振りの楽しい食卓。
翔のいる不思議な食卓……
まるで、不思議な国のアリスのような夢の世界で食事をしているみたいだ。
翔が話し、私とママが笑う。
そして、翔がまた私たちを笑わせる。
そんな楽しい食卓に突然、アラーム音が鳴り響く。
「あ、やべ。撮影だ」
翔はご飯を掻き込むと、椅子から立ち上がった。
「今日はお邪魔しました」
玄関で靴を履き、挨拶する翔に私達母子はニッコリ会釈する。
扉を開けかけて、翔が振り返る。
「あ、また、食べに来ても、いいっすか?」
「え?ええ……どうぞ、また、いらして下さい」
ママが応える。
ニッコリほほ笑みながら、翔が出て行くと、私達母子はほぉ~~~っと深い安堵の溜息を吐き、ようやく緊張感から解放される。
「面白い子だったわね」
ママはルンルン気分でリビングに戻って行った。
確かに、テレビで見るクールなイメージとはかけ離れていて、本物の翔はとても親しみやすかった。
私もルンルン気分で、部屋に帰り掛けて、ハタと気付く。
ところで……何しに来たの?翔……?
首を傾げる私の目の前の扉が突然、慌ただしく開き、翔が血相変えて現れる。
「綾乃さん、ごめん!本題を忘れてた!後1時間後に出待ちになるから、俺に勉強教えて。じゃ!」
呆気に取られた私の目の前で、扉がパタンと閉まった。