私は急いで部屋を飛び出し、玄関で靴を履いた。

翔が小さく手を挙げて、そのまま私の手を握る。

その瞬間、手に電流が流れる。

私の体全部が、翔が好きだって、震える……。

「おいで、散歩しよう」

翔は私の手を自分のポケットに入れ、その中で手を繋いだ。


ひんやりした夜空。

煌めく星座達。


ここにはコンサート会場のようなライトはないけど、翔の周りは光り輝いて見える。


ぼぉっとそんなことを考えながら、歩いていると、急に翔が立ち止まり振り向いた。


「コンサート会場で言ったこと、もう一度、言います!……今度はちゃんと聞いてね?」


翔が体を折って私の顔を覗き込む。


頷く間もなく、翔が口を開く。


「綾乃さん、好きです。付き合って下さい」


え?

私はぽかんと口を開ける。


「ベタな告白でごめん。でも、返事、欲しいんだけど……」

「……へん……じ?」

驚く私に翔は真剣な目で頷く。


「無理です」

とっさに出た言葉に私自身が驚き、思わず口を手で塞いだ。