紗奈は、一人暮らしらしい。


詳しい理由とかはあってすぐなので、聞けなかった。


なんだか聞いちゃいけない気がした。


紗奈は今年で13歳になるらしい。


中学2年生だそうだ。


中学生で一人暮らしで、しかもこんなに大人びていて、


不思議な子だと思った。


「雪は?」


そう聞かれた。


「僕は紗奈と同じ13歳。中学2年生」


一緒だと知ると、紗奈は笑った。


少し、安心したように。


「学校は?今日は、金曜日だけど」


「それが、わからないんだ。いや、過去の記憶がないとかじゃなくて、


なんで僕がここにいるんだろう。って・・・」


意味不明だろう。


でも、紗奈は理解してくれたみたい。


「じゃぁ、帰らなきゃいけない?」


正直困る質問だった。


僕は帰ったほうがいいのだろうか。帰らないほうがいいのだろうか。


そのとき、紗奈が足を止めて、僕の正面に立った。


「いらっしゃいませ」