youthful days~男女7人青春物語~

「――あの、先生…?」

戸惑いながら声をかけたルイに、
「昨日の告白、なかったことにしてくれないか?」

永田が言った。

「――えっ…?」

言われたルイは訳がわからなかった。

なかったことに、して欲しい…?

それはつまり、ジョーダンだったと言うことだろうか?

そうなると、昨日眠れなかった自分がバカみたいに思えた。

何故だか知らないが損をした気分だ。

けど、永田は頭をあげようとしない。

「ああ、わかりました…」

ルイはそう答えることしかできなかった。
「へえ、そんなことが」

加藤が言った。

「でしょ?

ジョーダンにも程があるって言う話だわ」

ぼやくように言った後、ルイは息を吐いた。

愛は次の時間にある授業の準備を手伝っているため、図書室にはいない。

加藤と2人だけだ。

「バカバカしいったらありゃしない」

笑いながら言ったルイに、
「僕だったら、雨野さんにそんなつまんないウソをつかないのにな」

加藤が小さな声で呟いた。

「えっ?」

それは、どう言う意味なのだろうか?

訳がわからなくて、ルイは首を傾げた。

「――ずっと好きだったんだ」
その言葉に、耳を疑った。

「――雨野さんのことが、好きだったんだ」

告白してきた加藤のその瞳は、真剣そのものだった。

「――あたしで、いいの…?」

信じられない気持ちの方が強くて、ルイは加藤に聞いた。

「雨野さんでいいんだ」

そう言って加藤が微笑んだ。

知らなかった。

こんなにも近くに、自分を思っていた人がいたなんて知らなかった。

「返事を聞かせて」

そう言った加藤に、ルイは手を差し出した。

「よろしく、加藤くん」

そう言って微笑んだルイの手を、加藤は重ねた。

☆★END☆★
いかがだったでしょうか?

無事に完結しましたー\(^o^)/

今回は学園もの……って言っても初期時代に書いた作品のリメイク版ですw

いろいろと修正したり、エピソードを追加しました(・∀・)

青春の時の思い出って、いっぱいあると思うんですよね。

部活を頑張った、友達とバカやった、先生に変なあだ名をつけたとか(笑)

おもしろおかしいバカエピソードがてんこ盛りだと思うんです。

今回はそんな青春時代にスポットライトを当てて、ゆりあの高校時代を思い出しながら執筆していました(^^ゞ

ゆりあが過ごした高校時代は、さすがにルイちゃんたちのような素敵なものではありませんでしたが(^^;)

でも「そう言えばこんなことあったよな」なんて呟きながら読んでくれたらいいなって思います(*^-^)ノ

以上、あとがきでした!

また会いましょう☆


P.S 次のページで光ちゃんと永田先生のバレンタインデーのエピソードを追加します。

興味のある方はどうぞ(^^♪
教師と生徒で、顧問とマネージャー。

そして同居人。

自分たちの関係は、変わらないものだと思っていた。

何より、彼には好きな人がいた。

全てに置いて無理だったはずなのに、それが今はかなっている。

教師と生徒じゃない。

顧問とマネージャーじゃない。

もちろん、同居人じゃない。

じゃあ何かと聞かれたら、答えは恋人だ。

好きな人と恋人同士になれたと言うのは、一生分の運を使い果たしたと言っても過言ではない。

それでも嬉しいから仕方がない。

光は静かに幸せを噛みしめた。
「おーい、始まるぞー」

リビングから永田が呼んだ。

「はーい、ただいまー」

光はマグカップを2つ持って、永田のいるリビングへと足を向かわせた。

黒のマグカップと黄色のマグカップ――色違いのそれは、恋人同士になった記念に2人で買った大事なものだ。

「はい、先生」

永田に黒のマグカップを渡したら、
「先生じゃないだろ?」

顔を覗き込まれたと思ったら、そう言われた。

先生じゃない。

もちろん、意味はわかっている。

光は真っ赤になりそうな顔を感じながら、
「――敦…」
と、言った。
「よく言えました、光」

永田の大きな手が光の頭をなでた。

にやけそうになる口を隠すため、光はマグカップに口をつけた。

同居、もとい同棲するにあたって追加されたルール。

それは、“2人っきりの時は名前で呼ぶこと”だ。

学校では先生と生徒、顧問とマネージャーの関係を続けているものの、家に帰れば恋人同士だ。

なるべく名前で呼ぶことを心がけているものの、さっきみたいに先生とうっかり呼んでしまうこともある。

今までが今までだったから仕方がない。

「おもしろかったなあ、今の千原ジュニアの話」

そう言った永田に、
「えっ…そ、そうですね」

光は言った。
突然話しかけられたものだから、光は戸惑った。

(と言うか、今のすべらない話を聞いていなかったんだけど…)

そんなことを言える訳がなかった。

「わたしは、宮川大輔のですかね?」

「バーカ、今は千原だよ。

ち・は・ら」

そんなことを言いあうけど、結局最後はこのセリフで丸く収まる。

「すべらんな~」


昼休み、光は世界史準備室で蒲生と昼食を食べていた。

「で、結局どうなったの?」

蒲生が聞いてきたので、
「みんなすべらないと言うことで」

光が答えた。
「何じゃそりゃ」

蒲生が呆れたと言うように言った。

彼は唯一自分と永田の関係を知っているので、こうして話すのも当たり前だ。

「俺も見たかったな、すべらない話」

そう言った蒲生に、
「えっ、見なかったんですか?

先生の好きなケンドーコバヤシが出てましたよ」

光が言った。

「うわーっ、何だよー」

「…何があったんですか?」

光が質問をすると、
「妻にテレビを占領された」

何ともな答えに、光は吹き出した。

「お前、他人事だと思いやがって~」

ちくわの天ぷらをくわえた蒲生が恨めしそうにこちらを見てきた。