「…ほんとは、白馬の王子さまが迎えに来るのを待ってるんじゃないの?」

「…翔ちゃん?!なに言ってるの?」

「ぼくよりも、誰かのことを考えてることがある」

「なんで?!そんなこと言うの?」

「じゃあ、これ、なんだよ?!」


ぼくはすばやく結花の書棚のところへ行って、《アメリカ・ボストンへの旅》のパンフレットを抜き出してみせた。


「ぼくがなにも知らないとでも思ってた?」

「翔ちゃん…、ひどい。こんな、勝手に…」

「それよりどういうことだよ。結花、おまえ、和尚について行く気じゃないだろうな?」


結花が震えて泣き始めた。