「…翔」
和尚がまもなく口を開いた。

「ん?」

「彼女とうまくやれよ」

「ああ」


和尚は、まっすぐ窓の方を見て言った。
ぼくは、和尚が、結花を忘れたのではなく、強靭な精神力によって想いを封じ込めている方だと確信した。

ぼくは、窓の風景を見ながら思った。



でも和尚――、

今度ばかりは、結花をおまえに渡すわけにはいかない。



ぼくらの卒業は、あと半年余りに迫っていた。
そのあと、和尚はアメリカへ旅立っていくのだ。