「結花は、進路どうするの?」

結花は、ちょっとうろたえた様子を見せた。

「進路…っていっても、具体的になにも考えてないのよね。…どうしようかなあ」

「グラビアアイドルになるとか?」

「さあ。なんか、雑誌社の人は熱心に勧めてくれてるみたいだけど」

「はやくしないと、年をとるぞ」

「ひどい~」

結花は笑顔で言ったが、こころはなにかに奪われているみたいだった。
彼女の瞳が動揺しているのを、ぼくはわけもわからずじっと見ていた。


「とりあえず、うちはエスカレーターな高校だから、翔ちゃんみたいにガツガツ勉強しなくてもいいのよ」

「そういうものなの?」

「そういうものなの」


でも、ぼくはなんだか釈然としなかった。
結花の、ほんとうの夢は、いったいどこにあるんだろう?