「翔ちゃん、普通の国立大学へ行くんだ?」

桜の花びらをあたまにひとひら乗せた結花が、ブランコに乗ったまま言った。


桜が満開になって散り始めると、ぼくと結花は近所の公園へ行った。
中学生のころから、二人が遊んでいた小さな公園。

結花が、ジーンズの後ろを汚しながらすべっていたすべり台は、もうぼくらには無縁になっていた。


「うん。パイロットになるには、大学で2年間基礎学問をやって、それから航空大学校に編入するのが早道だからね」

「ふうん…。パイロットになるって、本気だったのね」

「なんだか、子どもの夢みたいに思われるけど、ぼくは初めからそのつもりだったよ」
ぼくは、結花に微笑みかけた。

「それで、結花は?」

「え?」