翌日、ぼくは、1時間目が始まろうというときに、廊下で和尚にばったり出会ってしまった。


「やめろ!!」
気がついたら、ぼくは和尚に馬乗りになっていて、周りのやつらに腕をつかまれていた。


和尚は、口の端から血を流していた。
やがてぼくらはざわめきとともに引き離され、お互いを見ることもなく授業の教室に入った。



「おまえら、どうしたんだよ?仲よかったんじゃないのか」

矢野がこそこそと横から詮索してきた。

「誰だっけ、あのミスグランプリのせいなのか?でも、なんでいまさらなんだ?」

「ほっといてくれ。この件だけは」



矢野は、ふうとため息をついて、授業に入っていった。
ぼくは、和尚がなんの抵抗もしなかったことが、少し気がかりになっていた。