やがて結花は、泣き顔をおさめると、ぼくに「また連絡してもいい?」と尋ねてきた。

ぼくは、もちろんOKだった。



結花とドーナツ屋で別れたあと、ぼくは、今度は和尚への腹立ちでいきりたっていた。
あいつを、思い切り一発殴ってやらないと、もう絶対に気がすまない。


歩道橋を歩きながら、ぼくはあいつに電話した。


「和尚。話がある」

和尚は、ぼくの怒りにふるえる声をものともせずに、いつもの簡潔な口調で言った。

「いまから家庭教師が来るんだ。明日にしてくれないか」