決行日は、からりと晴れた暖かい冬の日だった。 でもぼくは、冬のプールから上がってきたばかりの間抜けな犬みたいにブルブル震えて、ものすごく緊張していた。 「え?和尚、いないの?」 結花は、部屋の座布団の上に座ったまま、愕然としていた。 「うん。なんか急用で、外に出たらしい。帰ってくるの、夕方になるから勝手にしててくれってさ」 ぼくは、ケータイをぱちんと閉じた。 すべて、予定通りだ。