「なんだ?」
豚骨ラーメンの熱いのをずるずるいわせながら、和尚が生返事した。

「おまえんち、ぼくと結花とのデートのとき使わせてくれるって話、あったじゃない。あれ、まだ有効?」

「――ああ。やっとその気になったか。いつだ?」

「まだわからないけど、近いうち」

「いいよ」


和尚はよどみなく言って、自分の離れのカギをくれた。
「マスターキー持ってるから。落とすなよ」


あまりのあっけなさに、ぼくは拍子抜けした。