「もう1年も終わりだからな。来年からは本格的に勉強しないと」

「…っておい。おまえ、東大行くんじゃないの?」

「行かない」

「なに?」

「ハーバードにしようかと思ってる」

「はぁああ??」

「世界で最高のランクだと思う」

そのあと、付け足しのように、
「おれの母親の母校でもあるんだよ」
と和尚は言った。

「――さあ、これで隠し事はないよ」

ぼくの呆気に取られた表情をよそに、和尚は本の山々を片づけ始めた。

「かえろっか。ラーメンでも食う?」