だが、和尚は、そんなぼくの方を見向きもしなかった。


彼は、ただじっと、壇上の結花を見つめて立ちつくしていた。


ぼくは、そんなに無防備な、なにかにとりつかれたような和尚を見るのは、初めてだった。