やがて9月がきて、文化祭の季節を迎えた。


結花は、この頃、やたらそわそわしていた。
長く伸びた髪を綺麗にそろえて、目元と唇に少し化粧もするようになった。


「周りの友だちが、こうした方がいいって言うのよ」
と結花は説明した。


ぼくは、どんどん艶やかに変わっていく結花を見て、とまどっていた。
ぼくは、こんなに素晴しく美貌な女の子と付き合ってきた自分を、いまさらのように奇跡に感じた。



「ミスコンテストの人数が足らないんだ」
と、文化委員から告げられたのは、文化祭直前のことだった。

「案外、エントリー者が少なくてな。他校からも応募を受け付けることにした」

「それで、ぼくにどうしろっての?」
ぼくは、文化委員の男に尋ねた。