「このまえの愛子ちゃんって、どうなのよ。和尚、やたらと気が合ってたじゃん」

「ああ。あいつか。面白いな、彼女」

「彼女にはアプローチしないの?」

「するわけないだろ。あいつ、こころは男だよ」

「なに」

「夏休みは男連中とツーリングだってさ。彼女が欲しいのは男友だちだよ。ぼくはその一人に認定された」

「そうなのか…」

少なからず、ぼくは落胆した。
愛子は、和尚の恋愛対象になり得なかったのだ。――