「信じられないな」

「おまえのことが、ときどき羨ましいよ」

「なら、そんな変な告白するなよ」

和尚はそのとき、自分を少し哀れむかのように言った。
「おれもね、年相応の経験値は積んでおきたいの。ほんとうの恋愛をしたときのためにね」



ほんとうの恋愛――。
その予感のする相手は、和尚、おまえにとって誰なんだ?


ぼくは、海へ行ったときの、和尚の奇妙なはしゃぎぶりを思い出した。
あれ以来、彼のあんな姿はまだ見ていない。


ぼくは、ぼくなりのレーザービームを、和尚に向けて発射した。