「なぁ。どう思う?和尚」
ぼくらは、ある夏の始まりの午後、サンドイッチを食べながら窓際で日向ぼっこしていた。
「どうって。アレのやり方くらい、自分で覚えろよ」
和尚は、ジイドの『狭き門』を読みながら言った。
彼の物言いは、いつも簡潔明瞭で素早かった。
「いや、聞きたいのは、どうやったら彼女をその気にさせられるかで」
「そりゃ、彼女しだいだろ」
「聞くけど、おまえ、したことあんの?」
「あるさ」
「どこで?」
「隣の家だよ」
「隣の家??誰と?!」
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