そのとき、「ゆかぁ~!」という愛子の声が聞こえた。

ぼくと和尚は、同時に愛子の視線の先を追った。



そこには、結花がいた。
彼女は、小さな荷物とともに、あの切り絵を握りしめていた。


「和尚………」


ぼくはいけない、と思った。
結花が、和尚に連れ去られていく。


和尚が動揺したのが受け取れた。

やがて、彼と結花との距離が接近し、和尚はデイバッグを肩から外した。